ADHDの先延ばし癖 みんなの対処法 先のばし癖からすぐやる癖に変える方法
看護師 山田祥和
ADHDの方からよく聞く悩みの一つが先延ばしです。
やらなければならないことがある。
頭では分かっている。
締め切りも知っている。
それなのに手がつけられない。動けない。
気づけばスマホを見ていたり、別のことを始めていたりする。まだ大丈夫だろうと考えて中々取り組まない。
そして最後には、またできなかった、自分はだめだと自分を責めてしまう。
しかし、ADHDの先延ばしは怠けではない可能性があります。むしろ頑張ろうとしている可能性もあります。
私たち、精神科訪問看護のご利用者さんの中にも、先延ばしに悩む方はたくさんいます。
今回は実際にADHD当事者の方々から聞いた「みんなの対処法」をご紹介します。
まずは2分だけやる
これは最もよく聞く方法です。
先延ばしをする時、多くの人は作業そのものではなく「始めること」に大きなエネルギーを使っています。
掃除をしよう。勉強をしよう。役所に電話をしよう。そう思った瞬間に頭が重くなってしまうのです。
そこで、何事も2分だけやると決めます。
机の上を少し片付ける。書類を開くだけ。メールの件名だけ入力する。
不思議なことに、始めてしまうとそのまま続くことが少なくありません。
まずは「取りかかる」です。
誰しもがそかもしれませんが、ADHDの方は特にスタートが苦手な特性があります。
逆に言えば、スタートできれば進めることも多いのです。
いつやるの?今でしょ
やることを極限まで小さくする
部屋を掃除する。
これは意外と大きな課題です。
掃除機を出す。
物を片付ける。
ゴミを捨てる。
整理整頓する。
脳は一瞬でたくさんの工程を考えてしまいます。
そこで、
ゴミを1個捨てる
机の上だけ片付ける
洗濯物を1枚たたむ
というレベルまで小さくします。
実際にADHD当事者の方の中には、歯を磨くではなく歯ブラシを持つから始めている人もいます。
笑ってしまうくらい小さくして大丈夫です。
大切なのは行動することです。

タイマーを使う
ADHDの方は時間の感覚が曖昧になりやすいことがあります。
そこで、
10分だけやる
15分だけやる
と決めてタイマーを使います。
終わったらやめても構いません。
むしろ、ずっとやらなければならないと思うことが先延ばしの原因になることもあります。
時間を区切ることで取り掛かりやすくなります。
完璧を目指さない
ADHDの方は意外と完璧主義なことがあります。(ASDを併発しているケースも珍しくありません)
どうせやるなら完璧に。失敗したくない。きちんとやりたい。その結果、始められなくなります。
100点を目指して0点になるより、50点でも終わらせる。
この考え方の方が前に進みやすくなります。
完璧より完了です。
最初に一通り手抜きでやってしまうことが大切です。
10問あるとしたら、初めから1問、2問と完璧に解こうとすると時間もかかりエネルギーを消費します。
わからないことはあまり考えず、飛ばしてとりあえず全部やってみるのです。
誰かに宣言する
一人だと動けないけれど、人が関わると頑張れる。
そんな方も少なくありません。
家族や友人に今日これをやります。
〇時までに終わらせます。
終わったら報告します。と伝える方法です。
精神科訪問看護でも、次回までにここをやってみましょうという約束が行動につながることがあります。
人の力を借りることも立派な工夫です。
環境を変える
やる気ではなく環境の問題であることも多いです。
スマホが目の前にある。
テレビがついている。
ゲーム機が近くにある。
これでは集中できなくても不思議ではありません。
スマホを別の部屋に置く。
図書館に行く。
カフェで作業する。
机の上を片付ける。
環境を変えるだけで驚くほど行動しやすくなることがあります。

「すぐやる自分」を脳に覚えさせる
個人的におすすめしたい方法があります。
何でもよいので、やらなければならないことができたら、まずはすぐやってみるのです。
ゴミを捨てる。
メールを返す。
洗い物をする。
書類を確認する。
本当に小さなことで構いません。
そして終わった後に鏡を見てみてください。
そして自分に向かってこう言います。
「俺はできる男だ」
「私はすぐやる人間だ」
少し照れくさいかもしれません。
しかし、これには意味があります。
私たちの脳には報酬系という仕組みがあります。
褒められたり達成感を感じたりすると、また同じ行動をしたくなる仕組みです。
先延ばしをすると、一時的に楽になります。
すると脳は、後回しにすると楽だと学習してしまいます。
一方で、すぐ行動した後に自分を認めると、すぐやると気持ちがいい、すぐやる自分はかっこいいという学習が起こります。
つまり、先延ばし癖を強化することもできるし、すぐやる癖を強化することもできるのです。
多くの人は失敗した時だけ自分に注目します。でも本当に大切なのは、小さな成功に注目することです。
まとめ
ADHDの先延ばし癖は、怠けや根性不足ではありません。脳の特性によって行動を始めることに大きなエネルギーが必要なのです。だからこそ必要なのは気合いではなく工夫です。
1.2分だけやる
2.やることを小さくする
3.タイマーを使う
4.完璧を目指さない
5.誰かに宣言する
6.環境を変える
7.すぐやった自分を褒める
どれか一つでも試してみてください。そして、小さなことでもできた時には、自分を認めてあげるといいです。
先延ばしを減らす第一歩は、自分を責めることではなく、「すぐやる自分って意外とかっこいいな」そう脳に覚えさせていくことなのかもしれません。


