うつ病 やる気が全く起きない。布団が親友になってしまう みんなの対処方法
看護師 山田祥和
「何もしたくない」
「布団から出られない」
「一日中寝てしまう」
「こんな自分はダメだと思ってしまう」
うつ病になると、多くの方が経験するのが「やる気が全く起きない」という状態です。
抑うつ気分といって、気持ちが落ち込んでしまう症状と、興味や喜びを感じなくなってしまう症状、そしてこの意欲がまったくなくなってしまう症状が、うつ病においてよく起こります。
やりたいのにやれない。やらなければいけないのにやれないといった症状です。
周囲からは
「少し散歩したら?」
「気合いを入れれば動けるよ」
「怠けているだけじゃない?」
そんな言葉をかけられることもあります。
しかし、うつ病のやる気の低下は、単なる怠けではありません。
脳のエネルギーそのものが不足している状態です。
今回は、実際にうつ病を経験した方や訪問看護で関わってきた方々の声をもとに、「布団が親友になってしまう時」の対処方法をまとめました。一つでも参考になればと思います。
① まずは「布団にいる自分」を責めない
一番多いのが「何もできない自分は価値がない」と思ってしまうことです。
でも、風邪で40℃の熱があれば誰も「頑張って動け」とは言いません。
うつ病も同じです。
動けないのは意思が弱いからではなく、病気の症状です。
まずは「今日は動けない日なんだな」と認めてあげることが回復への第一歩になります。
② 「起きる」ではなく「体を起こす」だけで十分
「今日は掃除をしよう」「買い物へ行こう」これはハードルが高すぎます。
まずは布団の中で座る、5分だけ起きる、カーテンを開ける
これだけで十分です。
うつ病では100点を目指すより、5点を積み重ねる方が回復につながります。
③ 顔だけ洗えたら今日は成功
歯磨きでもいいです。
顔を洗うだけでもいいです。
パジャマから着替えられたら大成功です。
元気な時の基準ではなく、「今の自分ができること」を評価してあげるといいと思います。
④ 食べられるものを食べる
食欲がない時は「栄養バランスを考えなきゃ」というよりも何か食べることを優先しましょう。
ゼリー飲料、ヨーグルト、バナナ、おにぎり、スープ
少量でもエネルギーが入ることで体が少し動きやすくなることがあります。
⑤ カーテンだけ開ける
朝日を浴びることは、体内時計を整える上でとても大切です。
外へ行けなくても大丈夫。
布団の中からでもいいのでカーテンを開けてみましょう。
⑥ 「散歩しなきゃ」ではなく玄関まで
よく「散歩しましょう」「特に朝散歩するのがいいです」と言われることがあると思います。しかし、それができないから困っている方もいるのが現実です。
そんな時は、玄関まで行く、ベランダに出る、家の前に30秒立つ、これだけでも十分です。
今日は玄関。明日は家の前。その積み重ねが大切です。
⑦ スマホばかり見てしまっても責めない
うつ病の方の多くは、YouTube、Instagram、TikTok、XなどのSNS、ゲームをぼーっと見続けてしまいます。
「また時間を無駄にした」と思うかもしれません。
もちろん見過ぎは良くありませんが、何も考えなくて済む時間が必要な時期もあります。
少し元気が出てきたら、5分だけ音楽を聴く、5分だけ本を読む、そんな小さな変化で十分です。
⑧ 人と話すことが回復につながることもある
誰とも話さない日が続くと、頭の中で悪い考えがぐるぐる回ってしまいます。
家族でも、友人でも、ご近所の人で、支援者でも
「今日は何もできなかった」
その一言を話すだけでも気持ちは少し軽くなることがあります。
⑨ 良くなる日は必ず波がある
今日は動けた。
でも明日は寝たきり。
これを繰り返すことがあります。
「また悪くなった」
ではありません。
うつ病は階段ではなく、波を繰り返しながら少しずつ回復していく病気です。
⑩ 一人で抱え込まない
「みんな普通に働いている。」
「自分だけ布団から出られない。」
そんなふうに思ってしまう方は少なくありません。
しかし、見えないところで同じように苦しんでいる人はたくさんいます。自分一人で何とかしようとせず、家族や医療機関、など周囲の支援を頼ることも大切な治療の一つです。
最後に
布団から出られない日は、とてもつらいものです。
「また一日が終わってしまった…」
そんなふうに自分を責めてしまうこともあるでしょう。
でも、忘れないでほしいことがあります。
布団から出られないあなたが悪いのではありません。
うつ病という病気が、そうさせているのです。
焦らなくて大丈夫です。
今日は体を起こせただけでもいい。
カーテンを開けられただけでもいい。
ご飯を一口食べられただけでもいい。
その小さな一歩は、確実に回復への一歩です。
こころいでは、精神科訪問看護を通して、「今日はカーテンを開けられた」「今日は玄関まで行けた」という小さな成功を一緒に積み重ねながら、その人らしい生活を取り戻せるよう支援しています。
一人では難しい時は、誰かと一緒にその一歩を踏み出してみることが大切だと思います。


