強迫症(強迫性障害)の巻き込み確認 家族の答え方は?

「大丈夫だよね?」に何度も答えてしまうとき

看護師 山田祥和


「何度も『大丈夫だよね』と聞いてしまって、家族に申し訳ないです」
「一回答えてもらっても安心できなくて、また同じことを聞いてしまうんです」
「家族に確認してもらわないと、その先に進めなくなってしまいます」

私が精神科訪問看護の現場で、強迫症(強迫性障害、OCD)のある方やそのご家族からよく聞く言葉です。本人が確認や安心を求め、家族がそれに応じる形で関わってしまうことを「巻き込み」と呼びます。これは、本人が甘えているわけでも、家族の対応が間違っていたわけでもないかもしれません。

巻き込み確認とはどういうものか

巻き込み確認とは、強迫症のある方が抱いた不安を打ち消すために、家族など周囲の人に確認や保証を求める行動のことです。「鍵を閉めたか見てきて」「本当に汚れていないよね」など、内容はさまざまです。家族が代わりに確認したり、「大丈夫」と答えたりすることで、その場の不安は一時的に和らぎます。ただ、その安心は長くは続かず、時間が経つとまた同じ確認が必要になってしまうことが多いのです。

なぜ確認を繰り返してしまうのか

背景には、いくつかの仕組みが重なっていることが多いです。
①安心が「その場かぎり」で消えてしまう
 確認して安心できても、その安心は長続きしません。しばらくすると同じ不安が戻ってきて、また確認したくなってしまいます。
②自分の記憶や感覚を信じきれなくなる
 繰り返し確認するほど、「本当にさっき確認したのか」という感覚があいまいになり、かえって自信が持てなくなることがあります。
③確認して安心する体験が、パターンを強めてしまう
 「確認すれば楽になる」という体験を重ねるほど、脳は「確認しないと危険だ」と学習してしまいます。結果として、確認の回数や範囲が少しずつ広がっていくことがあります。
④家族が答えることで、本人が不安に耐える機会が減ってしまう
 家族が善意で「大丈夫だよ」と答えるほど、本人が「不安なままでも大丈夫だった」と実感する機会が失われ、確認への依存が続きやすくなります。

家族の関わり方を少しずつ変えていく

まず前提として、これまで答えてきたことを責める必要はありません。目の前で困っている家族に応えたいと思うのは自然なことです。そのうえで、少しずつ関わり方を調整していく方法があります。
①いきなりゼロにしようとしない
 「今日から一切答えない」と急に決めると、本人の不安が一気に高まり、関係がこじれてしまうことがあります。減らすとしても段階的に進めることが大切です。
②答えない理由を、落ち着いているときに共有しておく
 不安が高まっている最中に説明しても、なかなか届きません。お互いが落ち着いているときに「確認に答え続けることが、かえって回復を遠ざけてしまうこともあるらしい」と、責める形ではなく情報として話しておくと、後の場面で共有しやすくなります。
③回数や条件をあらかじめ決めておく
 「一日に一回までは答える」「一度答えたら、その日は同じ質問には答えない」など、事前にルールを決めておくと、その場での押し問答を避けやすくなります。
④答えない代わりに、不安な気持ちには応じる
 「大丈夫かどうかは答えられないけれど、不安なんだね」と、質問には答えなくても気持ちは受け止める関わりが、突き放された感覚を和らげてくれます。
⑤うまくいかない日があっても構わない
 疲れているときに答えてしまう日があっても、それで失敗ではありません。波があって当然ですし、続けていくことのほうが大切です。
⑥家族自身の負担も、我慢しすぎない
 巻き込み確認への対応は、家族にとっても大きな負担になります。答えられないつらさや、断ることへの罪悪感を一人で抱え込まず、他の家族や支援者と分かち合っておくことも大切です。

本人が試せること

①確認したくなったときに、少しだけ間を置いてみる
 すぐに聞かず、五分だけ待ってみる。それでも聞きたければ聞いていい、という形にすると、少しずつ間隔を広げやすくなります。
②「確認しなくても大丈夫だった」経験を記録しておく
 不安が下がるのを待てた日をメモしておくと、次に同じ場面が来たときの支えになります。何回できたかを競う必要はなく、できた日があったという事実だけで十分です。
③確認したい気持ちそのものは、否定しなくていい
 「こんなことを聞いてしまう自分はおかしい」と責めるほど、不安は強まりやすくなります。確認したくなるのは症状によるものだと理解しておくだけでも、気持ちの負担は少し軽くなります。


強迫症の巻き込み確認は、本人と家族の双方に負担がかかりやすく、二人だけで解決しようとすると行き詰まってしまうことがあります。関わり方を変えていく過程では専門的な助けが役に立つことも多いため、対応に悩む場合は一人で抱え込まず、主治医や医療機関に相談してみることも選択肢のひとつです。少しずつ関わり方を調整していくことが、お互いの負担を軽くする手がかりになるかもしれません。

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