命令性の幻聴が聞こえたらどうしてる? ~みんなの対処方法~

看護師 山田祥和

「外へ出るな。」
「寝るな。」
「死ね。」
「薬を飲むな。」
「誰も信用するな。」

命令性の幻聴は、このように「何かをしろ」「何かをするな」と命令してくる幻聴です。

精神科訪問看護をしていると、「どうしたらいいか分からない」「毎回負けてしまう」と相談されることがあります。

本人にとっては、本当に誰かが話しかけているように聞こえるため、周囲が思っている以上につらい症状です。

その声の主が、昔、怒鳴られた上司であったり、暴力を振るってきた同級生であったり、厳しかったおじいちゃんであったりすることもあります。
よって、その声が幻聴とわかっていても従わざるを得ない場合も多いのです。逆らえないのです。

しかし、私が多くの方と関わる中で感じるのは、自分なりの対処法を持っている人ほど、幻聴と上手く付き合えているということです。
幻聴をゼロにするという考え方もありますが、幻聴と上手く付き合っていくという考え方もあります。

今回は、実際に利用者さんから教えていただいた、幻聴が命令してきた時の対処方法や、訪問看護で一緒に考えてきた方法をご紹介します。

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①人と話す


これはみなさんが良く使っている方法の一つです。「人と話をしていると声が聞こえない」「訪問看護の時は、幻聴さんに命令されない」

会話をしている間は、脳が現実のやり取りに集中するため、幻聴が弱く感じられることがあります。

家族や友人、支援者など、安心して話せる人との会話は、とても大きな支えになります。以前noteにも書きましたが雑談療法はとても有効です。
孤独は病気を悪くすると言いますが、できればデイケアやB型など、日中活動した方がいいですね。

②「これは病気の症状」と声に出して言ってみる


幻聴で命令されている時は、その内容が本当に起きていることのように感じます。

だからこそ、一度立ち止まって、「これは病気の症状だ。」「脳が疲れているサインかもしれない。」と、自分に言い聞かせるだけでも、少し冷静になれる場合があります。
「幻聴であって実際ではない」と自分の声を自分の耳から聞いて、幻聴との区別をするのです。

もちろん、すぐに信じられないこともあります。
それでも、「もしかしたら症状かもしれない」と考えられるだけで、幻聴との距離が少し生まれます。

③音楽や動画で「現実の音」を増やす


「静かな部屋に一人でいると、声が大きくなる。」
そんな経験を話される方は少なくありません。

そのため、好きな音楽を聴く、YouTubeで好きな配信を見る、ラジオを流す、テレビをつける、など、「現実の音」を増やすことで、幻聴が気になりにくくなることがあります。

好きなアーティストの曲や、お笑い番組を流しているという方、お経を聴いている方もいます。

④幻聴に従わない練習をする


命令性の幻聴は、とても強い口調で話しかけてくることがあります。

「従わないと大変なことになる。」
「言うことを聞かなければいけない。」
そんな気持ちになる方も少なくありません。

しかし、これまで多くの方と関わってきた中で感じるのは、幻聴は命令してきても、その命令に従わなければ何かが起こるわけではないということです。

「あなたの言うことは聞きません。」
「私は自分で決めます。」
心の中でそう返すことを続けている方もいます。

最初は難しくても、少しずつ「自分で選ぶ」という感覚を取り戻していくことが大切です。

⑤少しだけ体を動かしてみる


散歩やストレッチ、掃除、洗濯など、少し体を動かすことで気持ちが切り替わる方もいます。

「家の周りを5分歩くだけ。」
「コンビニまで行って帰るだけ。」
そんな小さな行動でも十分です。

もちろん、症状が強い日は無理をする必要はありません。

「できる日に、できる範囲で。」
それで大丈夫です。

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⑥睡眠不足やストレスに気をつける


幻聴は、睡眠不足や強いストレスが続くことで悪化することがあります。

「最近眠れていない。」
「仕事で疲れがたまっている。」
「人間関係で悩んでいる。」

そんなときは、幻聴が強くなっていないか振り返ってみることも大切です。
十分な睡眠をとることや、疲れをため込まないことも、幻聴を和らげるための大切な治療の一つです。

⑦一人で抱え込まない


「こんなことを話したら変に思われるかもしれない。」
そう思って、誰にも言えずに苦しんでいる方もいます。

しかし、精神科の医師や看護師、訪問看護師にとって、幻聴は決して珍しい症状ではありません。
むしろ、早めに相談してもらえることで、薬の調整や生活の工夫など、できる支援がたくさんあります。

「今、こんな声が聞こえている。」
それだけでも十分です。
一人で抱え込まないことが何より大切です。

まとめ

①人と話す
②「これは病気の症状」と声に出して言ってみる
③音楽や動画で「現実の音」を増やす
④幻聴に従わない練習をする
⑤少しだけ体を動かしてみる
⑥睡眠不足やストレスに気をつける
⑦一人で抱え込まない

命令性の幻聴は、とてもつらい症状です。
だからといって、「一人で我慢しなければならないもの」ではありません。

これまで出会ってきた利用者さんも、それぞれ自分に合った対処法を見つけながら生活しています。
ある人は音楽を聴き、ある人は散歩をし、ある人は訪問看護師に話します。

「この方法なら少し楽になる。」
そんな対処方法を一つずつ増やしていくことが、幻聴とうまく付き合う力につながります。

もちろん、紹介した方法以外にも、対処方法はあります。自分に合った「安心できる対処法」が見つかると生活が楽になりますね。

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