「訪問看護は何をしているんだ」救急外来の看護師とOD対応ですれ違った話
看護師 山田祥和
先日、オーバードーズ(OD)を繰り返す方への支援について、救急外来の看護師さんと意見が食い違ったことがありました。
本日はその話を書きます。

救急外来の看護師さんの意見はこうでした。
「訪問看護がしっかり関わっていれば、こんなに何度もODにならないはずだ」
「訪問看護は何をしているんだ」
「本当に命に関わる人が助からない可能性だってあるんだぞ」
救急外来の医師や看護師から見れば確かにそうかもしれません。
命に関わる対応を繰り返し、夜中でも休日でも対応しなければならない現場です。
その大変さは、私も十分理解しています。
しかし一方で、私は精神科訪問看護師として違う景色を見ています。
私たちは、その方たちの生活を何か月、何年という単位で見ているのです。
服薬管理をしたり、一緒に散歩をしたり、家族と話をしたり、就労を支えたり、悩みを聞いたり。
もちろんODをしないように、あらゆる方法を考え続けています。
それでもODは起きるのです。
そう言われた私は、救急外来の看護師にこんな話をしました。
「その方が『救急外来に行けば優しく話を聞いてもらえる』『処置などで見てもらえている感覚をおぼえる』という経験を積み重ねているから、ODを繰り返すのでないか」
もちろん、だからといって冷たく対応すればいいという話ではありません。
命を守ることは救急医療の最優先です。
しかし、心理学には「行動は結果によって強化される」という考え方があります。
ケア希求行動(ODをすることで、関心が向けられる感覚や、大切にされている感覚を得ようとする行動)が救急医療によって強化される可能性があります。

もしODをすることで、普段は得られない安心感や人とのつながりが得られるのであれば、本人も意識しないまま、その行動が繰り返されてしまうことがあります。
これは本人が「かまってほしい」だけだからではありません。
苦しさの中で、その方法しか思いつかない状態なのです。
よって、ODを減らすためには、訪問看護だけ頑張っても難しい。
救急外来だけ頑張っても難しい。
外来、病棟、訪問看護、相談支援、家族、地域。
それぞれが「なぜこの人はODを繰り返すのか」という視点を共有しなければ、本当の意味で再発予防にはつながりません。
救急外来では命を救う。
訪問看護では生活を支える。
どちらも欠かすことのできない役割です。
この記事を書きながら思いました。責任を押し付け合っていても、OD行動は変わりません。
大切なのは、「誰が悪いか」ではなく、「この人が次にODをしなくて済むためには何が必要なのか」を一緒に考えることです。
それぞれ立場も違いますから、色々意見はありますね。

