発達障害とリセット症候群 「リセットしたくなる気持ち」

看護師 山田祥和

「もう全部消してしまいたい」

そんな気持ちになったことはありませんか。

発達障害のある方の中には、人間関係や仕事、学校、日常生活で強いストレスが続くと、「今まで積み上げてきたものを全部やめたくなる」「連絡先を消したくなる」「学校や仕事を辞めたくなる」「引っ越したくなる」といったリセット行動が見られることがあります。

周囲からは「また逃げた」「我慢が足りない」と見られることもありますが、本人にとっては単なるわがままではなく、限界まで疲れたこころを守るための行動であることも少なくありません。

私も利用者さんといい関係だと思っていたのに、突然「訪問看護やめます」と言われた経験があります。
周囲からみると何の前触れもないかとしれませんが、本人の中では限界が来ているのかもしれません。

リセット行動とは


リセット行動とは、現在抱えている問題やストレスから一気に離れるために環境を大きく変える行動を指します。

例えば、SNSアカウントを突然削除する
LINEの友達を全員消す
学校や仕事を辞めたくなる
人間関係を一斉に断つ
引っ越しを繰り返す
趣味や活動を急にやめる、などがあります。

一時的には気持ちが楽になりますが、根本的な問題が解決されないため、しばらくすると同じ苦しさを繰り返してしまうことがあります。人間関係においては本当に後悔することが多いです。

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なぜ発達障害を抱えているとリセットしたくなるのか


頑張り過ぎて限界まで我慢してしまう

発達障害のある方は、周囲に合わせようと人一倍努力していることがあります。

読めない空気を読み、忘れ物をしないようにし、失敗しないように気を張る。

このような努力を毎日続けていると、見た目以上にエネルギーを消耗しています。

そして限界が来た時に、「もう無理」「全部やめたい」と一気にリセットしたくなるのです。衝動的に、ゲームのリセットボタンを押すように、バサバサと切っていきます。

問題を少しずつ処理するのが苦手


発達障害の特性として、複数の問題を整理しながら順番に対応することが苦手な場合があります。

仕事のミスや人間関係の悩み、家事の負担、将来への不安。

これらが重なると頭の中が混乱し、「一つずつ解決する」よりも「全部なくしてしまいたい」という考えになりやすくなります。

一つずつ、一番解決しやすいことから取り組めばいいのですが、困難な問題を棚上げすることができず、全部をやろうとしてしまいます。

白黒思考になりやすい


発達障害の方の中には、物事を極端に考えやすい傾向があります。

少し失敗しただけで、「自分はダメだ」、「もう終わりだ」、「ここには居られない」と感じてしまうことがあります。

本当は「少し休めば続けられる状態」であっても、頭の中では「続けるか、全部やめるか」の二択になってしまうのです。
ひと呼吸おけば意外と解決したりします。

リセット行動が悪いわけではない


リセット行動そのものが悪いわけではありません。実際に環境を変えることで回復することもあります。

いじめを受けている学校を変える。
ブラック企業を辞める。
負担の大きすぎる人間関係から距離を置く。

こうした選択が必要な場合もあります。
大切なのは、「限界になって突然リセットする」のではなく、「限界になる前に調整する」ことです。

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リセットの前にできること


まずは自分の疲れのサインに気づくことが大切です。イライラや、食欲、睡眠時間の変化、意欲や人に会いたくないなど
こうしたサインが出ている時は、こころが「休ませてほしい」と訴えている状態かもしれません。

いきなりリセットするのではなく「一日休む」、「相談する」、「負担を減らす」、「誰かに話す」といった小さな調整が有効なことがあります。

リセットボタンを押すか、押さないかの二択ではない


発達障害のある方のリセット行動は、怠けや逃げではなく、衝動的であったり、限界まで頑張った結果として起こることがあります。

だからこそ、「また逃げた」と責めるのではなく、「何がそこまで苦しかったのか」を一緒に考えることが大切です。

人生はリセットボタンを押すか、押さないかの二択ではありません。

少し休む。
少し頼る。
少し環境を変える。

そんな小さな調整を重ねながら、自分に合った暮らし方を見つけていくことが、長く安定して生活していくための大切なポイントなのです。

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