発達障害(神経発達症)のある方の家族と、支援者が集まった日
看護師 山田祥和
先日、発達障害(神経発達症)のある方のご家族や支援者を対象とした講演会を企画し、参加しました。
今回の講演会で、まず驚いたことがあります。
それは、参加申し込みを開始して間もなく、定員に達したことです。
予想を上回る反響に驚くと同時に、それだけ多くのご家族が日々の生活の中で悩みを抱え、また支援者もより良い関わり方を模索しているのだと、改めて感じました。
発達障害という言葉は、広く知られています。※今は神経発達症といいます。
しかし、実際の生活の中では、本人への接し方、家族との関係、学校や職場での困りごと、将来への不安など、簡単には答えの出ない問題がたくさんあります。
知識として理解することと、日々の生活の中で向き合うことは、決して同じではありません。
だからこそ、こうした学びと交流の場が求められているのだと思います。
今回の新しい試み
今回の講演会では、これまでとは少し違った取り組みを行いました。
それは、ご家族だけのグループと、支援者だけのグループに分かれて話し合う時間を設けたことです。
家族と支援者が一緒に話すことにも大きな意味があります。
一方で、それぞれの立場だからこそ、話しやすいこともあるのではないかと考えました。
ご家族には、ご家族にしか分からない日々の苦労や葛藤があります。
「どう接したらいいのか分からない」
「このままでいいのだろうか」
「将来、本人はどうなっていくのだろう」
そんな思いを抱えていても、普段はなかなか口にできないことがあります。
支援者も同じです。
「本人の意思をどこまで尊重すればいいのか」
「家族の思いと本人の希望が違うとき、どう支援するのか」
「今の関わり方で本当に良いのだろうか」
専門職であっても、日々迷いながら支援しています。
それぞれの立場で、安心して思いを言葉にできる時間をつくってはどうか。
講師の先生からの提案でした。
予想以上に盛り上がったグループワーク
実際にグループでの話し合いが始まると、私たちの予想を超えるほど活発な交流が生まれました。
どのグループでも話が尽きず、参加者同士が熱心に言葉を交わしていました。
当初予定していた時間では足りず、時間を延長して話し合いを続けることになりました。
これは、今回の講演会で特に印象に残った出来事です。
もちろん、講演を聴いて知識を得ることも大切です。
しかし、それと同じくらい、自分の思いを誰かに話し、誰かの経験に耳を傾けることにも大きな意味があるのだと感じました。
同じような悩みを持つ人がいると知ること。
自分とは違う考え方や工夫に出会うこと。
そして、普段は言葉にできない気持ちを、安心して話せること。
こうした時間そのものが、ご家族や支援者にとって大切な支えになるのではないでしょうか。
家族も支援者も、答えを探し続けている
精神科訪問看護の仕事をしていると、ご家族からさまざまな相談を受けます。
本人のことを大切に思っているからこそ、悩み、時には疲れ果ててしまうこともあります。
一方、支援者も決してすべての答えを持っているわけではありません。
発達障害の特性は一人ひとり異なり、家庭環境も、本人の思いも、抱えている困難も違います。
だからこそ、一つの正解を押しつけるのではなく、本人や家族と一緒に考え続ける姿勢が必要なのだと思います。
今回のグループワークを通して感じたのは、人は必ずしも答えだけを求めているわけではないということです。
自分の話を聴いてもらいたい。
同じ立場の人と気持ちを共有したい。
自分だけが悩んでいるのではないと感じたい。
そんな思いも、参加者の皆さんが集まった大きな理由だったのかもしれません。
講演会を一度きりで終わらせないために
申し込み開始後すぐに定員に達したこと。
そして、予定時間を延長するほどグループワークが盛り上がったこと。
この二つの出来事は、地域にこうした場が必要とされていることを強く感じさせるものでした。
講演会を開催して終わりにするのではなく、これからもご家族や支援者が学び、悩みを共有し、つながれる機会をつくっていくことが大切だと感じています。
支援者が知識を深めることはもちろん大切です。
しかし、家族が孤立しないこと、支援者自身も孤立しないことも、同じくらい重要です。
支える人にも、支えが必要です。
そして、そのつながりが、結果として発達障害のあるご本人の安心した暮らしにつながっていくのだと思います。
今回の講演会は、私自身にとっても多くの気づきがある時間となりました。
ご参加いただいたご家族、支援者の皆さま、そして開催にご協力いただいた関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
これからも、地域の中で一人ひとりの思いを大切にしながら、人と人がつながる機会をつくっていきたいと思います。

