未開人から学ぶ心の豊かさと貧しさ②

ピアサポーター 金子祐也

隔絶された村での暮らしと人々のつながり​

中国広東省の奥地に位置するハンセン病村は、都市部から遠く離れた場所にあります。​広州空港からバスで8時間、さらに舗装されていない道をバイクタクシーで3時間進んだ先に、田んぼと廃棄されたレンガ塔に囲まれた村が広がっています。​村の前には川が流れ、夜には満天の星空や赤く染まる神秘的な空が広がります。​

村は集会所を中心に、3畳ほどのコンクリート製の長屋が並び、各家の前には井戸水を汲むポンプが設置されています。​水道や下水は整備されておらず、買い物はバイクで2時間かけてマーケットに行くか、毎朝村に来る肉屋から購入します。​鶏が放し飼いにされ、村人たちの食事に活用されています。​

村人たちは集会所で唯一のテレビを見たり、トランプで遊んだりして過ごしています。​各家には竹で作られた水たばこがあり、これが村人たちの唯一の嗜好品となっています。​私もこの隔絶された村の生活を楽しむようになり、村長から家をもらい、研究調査のため数か月住んでいました。​

日が昇ると同時に起き、日が沈むと寝るという生活は、一見寂しいように思えますが、村人たちは日々のスローライフを楽しんで暮らしています。​資源が少ないからこそ、村人たちのつながりも密で、朝になると隣の家の村人が窓越しから「おはよう」と声をかけてくれます。​何もないからこそ、何も考える必要もなく、ゆったりと時間が過ぎていきます。​

ありのままを受け入れる「覚悟」と心の豊かさ​

何も考えないでありのままを受け入れて生きていくということこそ、心の豊かさにつながると感じました。​障がいを受け入れるのには時間がかかるかもしれませんが、それも自分自身の一部です。​当ステーションの管理者はよく言います。​

「障がいは、勉強しても取れない資格だから、その資格を活かして仕事をすれば」と。​

この言葉は、ありのままの自分を受け入れ、それを活かして生きていくことの大切さを教えてくれます。​心を豊かに生きていくためには、ありのままを受け入れる「覚悟」が必要なのかもしれません。

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