働くために必要な力 ~職業準備性ピラミッドを訪問看護の現場から考える~

看護師 山田祥和

先日、ある学校の特別支援級の記事を拝読しました。
「職業準備性ピラミッド」をもとに、働く力を土台から整理された内容でしたが、精神科訪問看護の現場で日々支援している立場として、まさにその通りだと強く感じました。
本日はその内容を踏まえて、訪問看護における就労支援について書いていきます。

働く力の土台は「健康管理」と「日常生活管理」

私たちが就労支援する中で、仕事がなかなか継続できない利用者さんもいます。

その背景を丁寧に見ていくと、能力の問題ではない場合もあります。

規則正しく起きられない、食事が不規則、服薬が安定しない、体調の波が大きい

こうした生活の揺らぎがあると、仕事を続けることは難しくなります。

どれほど高いスキルがあっても、生活が不安定では力を発揮できません。
逆に、生活が整うと驚くほど安定して働けるようになる方も多くいらっしゃいます。

働く力はまず生活を整えることから始まります。

対人技能は「才能」ではなく「育てる力」

社会で働く上で、人との関わりは避けて通れません。

挨拶が苦手、注意を受けると強く落ち込む、感情が爆発してしまう

精神科領域では、このような課題を抱える方も少なくありません。

しかし、これらは生まれ持った才能ではなく、安心できる環境で少しずつ育てていく力です。

訪問看護では、挨拶の練習や報告の仕方、気持ちの整理の方法などを一緒に確認していきます。

小さなやりとりの積み重ねが、信頼関係を築く力になります。

基本的な労働習慣は日常生活の延長線上にある

決められた時間に動く、集中して作業を続ける、報告・連絡・相談をする、身だしなみを整える

これらは職場だけで求められる力ではありません。

毎日の生活の中で、約束の時間を守る、困ったら相談する、身なりを整えるといった習慣が身についているかどうかが、そのまま職場での安定につながります。

福祉事業所へ通うことも立派な「働く」です。企業就労だけが働くではありません。
社会の中で役割を持つことが、働く力を育てます

スキルは最後に活きる

資格や専門技術は確かに大切です。しかし、土台が整ってこそ、その力は活きます。

生活が安定し、対人関係が安定し、基本的な習慣が整ったとき、初めて「職業適性」や「専門スキル」が発揮されます。

焦って上を目指すよりも、足元を整えること。
それが遠回りに見えて、最も確実な近道です。

精神科訪問看護が担う「土台づくり」の支援

精神科訪問看護の役割は、薬の管理や症状観察だけではありません。

生活リズムを整える支援であったり、安心できる関係づくりや、小さな成功体験を積むこと、失敗してもやり直せる環境をつくること

これらはすべて、職業準備性ピラミッドの土台づくりです。

働くことは、毎日の生活の延長線上にあります。

家庭での生活習慣
学校での経験
福祉サービスでの役割

その積み重ねが、未来の働く力につながっていきます。

まとめ

「働くために必要な力」は、特別なものではありません。

生活を整え、人との関わりを学び、基本的な習慣を積み重ねる

その先に、働く力があります。

先日読んだ記事は、その本質をとても分かりやすく示していました。

精神科訪問看護の現場から見ても、全くその通りです。

今日も一人ひとりの生活の土台を整えることが、将来の働く力を育てる支援につながると信じています。

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