発達障がいの子どもを育てる上で大切なこと 発達障がいの二次障がいを起こさせない
看護師 山田祥和
私たちの大切にしていることの一つに、「精神疾患の予防」というのがあります。
発達障がいを抱えていると、うつ病や不安障がい、依存症などの二次障がいが生じることがあります。
しかし、この二次障がいは環境や周囲の関わり方で防げる場合もあります。
本日は発達障がいのお子さんを育てる上で大切なことを、支援者の立場からお話ししていきます。

子どもを「変えよう」としないことから始まる
発達障がいの子どもを育てる上で大切なことは、子どもを「普通にしよう」とするのではなく、その子の特性を理解し受け入れることです。
発達障がいはしつけや育て方の問題ではなく、生まれ持った脳の特性です。集中の仕方、感覚の感じ方、人との関わり方、物事の理解の仕方が多数派と違うだけであり、本人の努力不足でも親の責任でもありません。
しかし日常生活の中では、「どうしてできないのか」「なぜ言うことを聞かないのか」と感じる場面が多くなります。
何度注意しても同じことを繰り返す、予定変更でパニックになる、こだわりが強い。このような姿を前にすると、どうしても「直さなければ」と思ってしまいます。
けれども、特性を無理に変えようとするほど子どもは苦しくなります。まず必要なのは、行動の背景にある「理由」を理解する姿勢です。
「できない子」ではなく「本人も困っている」として見る視点が、支援の出発点になります。
行動の裏にある理由を理解する
発達障がいの子どもの行動には必ず理由があります。
落ち着きがないように見えるのは、周囲の刺激に敏感すぎて集中できないからかもしれません。
指示が通らないように見えるのは、言葉の理解の仕方が独特な可能性があります。
強いこだわりは、不安を減らすための自己防衛であることもあります。
大人の価値観だけで判断すると「問題行動」に見えることも、本人にとっては必死に環境に適応しようとする行動です。
訪問看護の現場でも、叱られ続けて自己肯定感を失っている子どもや、「どうせ自分はできない」と感じている子どもを多く見てきました。理解されない経験が続くと、二次的に不安や抑うつ、不登校などの問題につながることもあります。
二次障害は防げます。
行動を止めることよりも、なぜその行動が起きているのかを一緒に考えることが大切です。
「できた経験」を増やす関わり
発達障がいの子どもにとって、自信を育てることは非常に重要です。
日常生活の中で失敗や注意が続くと、「どうせ自分はできない」という感覚が強くなります。この状態が続くと、新しいことへの挑戦を避けるようになり、社会生活への不安も大きくなります。
そのため支援では「できないことを直す」よりも「できることを増やす」視点が重要になります。
少しの成功を一緒に喜ぶ
得意なことを見つける
努力の過程を認める
こうした経験の積み重ねが、安心感と自己肯定感を育てます。自己肯定感が育つことで、苦手なことにも少しずつ向き合えるようになります。
親が一人で抱え込まないこと
発達障がいの子育てでは、親の負担が大きくなりやすい現実があります。
周囲に理解されない苦しさ
将来への不安
育て方への迷い
孤立感
これらを一人で抱え続けると、親自身が疲れ切ってしまいます。親の余裕がなくなると、子どもにもその緊張が伝わります。
医療機関、学校、相談支援、地域の支援機関など、頼れる支援は積極的に活用することが大切です。子どもを支えるためには、まず支える側が支えられる環境が必要です。

「安心できる存在」であることが何よりの支援
発達障がいの子どもにとって最も大きな支えは、「自分を理解してくれる人がいる」という安心感です。
失敗しても否定されない
困ったときに助けを求められる
ありのままで受け入れてもらえる
この安心感があることで、子どもは外の世界に挑戦する力を持てるようになります。
特別な支援や高度な知識よりも、「あなたは大切な存在だ」というメッセージを日常の関わりの中で伝え続けることが、最も重要な支援と言えるでしょう。
まとめ
発達障がいの子どもを育てる上で一番大切なのは、子どもの特性を理解し、その子らしさを尊重することです。
子どもを変えようとするのではなく、環境や関わり方を調整すること。できない部分を責めるのではなく、できる部分を育てること。そして何より、安心できる存在であり続けること。
理解と安心の積み重ねが、子どもの未来を支える力になります。

