みんな変わっているは発達障害
看護師 山田祥和
SNSで、「人のことを変わっているという人は、その人自身が発達障害だ」という内容を目にしました。
確かに日常生活の中で、「あの人は変わっている」「この人もちょっと変わってるよね」「この家ちょっと変だよね」と頻繁に口にする人がいます。
周囲の人間のことを「変わっている、変わってる」と言ってしまうのは、当の本人が変わっていて、本人が発達障害だからなのでしょうか?
それとも、単なる性格の傾向なのでしょうか?今回は、そのあたりについて少し考えてみたいと思います。
「変わっている」という言葉の背景
「変わっている」とは、多くの場合、“自分と違う” “多数派と違う”という意味で使われることが多いです。その言葉の裏には、「普通ってこうだよね」という無意識の価値観があります。
実は、「あの人は変わっている」と感じやすい人は、逆に“自分の中の基準”が強いタイプであることが多いのです。つまり、「こうあるべき」「こうするのが普通」という枠組みをしっかり持っていて、それに当てはまらない人に対して違和感を覚える傾向があります。
発達障害との関連は?
発達障害の特性を持つ人の中には、こだわりが強かったり、曖昧な状況に不安を感じやすい人がいます。そのため、自分なりの“正しさ”や“普通”を大切にしすぎてしまうこともあります。
たとえば、自閉スペクトラム症の方は、「暗黙の了解」が苦手なことが多く、「どうしてこういう行動をするのか?」という理由がわからないと戸惑いや不安につながることも。そういった不安や違和感が「変わってる」と判断する材料になることもあるのかもしれません。
でも、「変わっている」と言うからといって、その人が発達障害とは限りません。むしろ、人との違いを敏感に感じ取りやすい“繊細な気質”の可能性もありますし、単に「他人に興味がある」性格の人かもしれません。
その言葉を使うときの注意点
「変わってる」という言葉は、ちょっとした冗談のようでいて、相手を傷つける可能性もあります。本人にはその“違い”がアイデンティティであり、大切にしている部分かもしれません。
また、そうやって他人を評価し続けていると、自分自身も「変わっている」と見られやすくなるものです。人は不思議と、他人を通して自分を見ているものです。
結論
「あの人は変わっている、この人も変わっている」と感じることは、発達障害の特性と関係がある場合もあれば、そうでないこともあります。それは性格の傾向であり、その人がどんな“物差し”を持っているかの違いかもしれません。
大切なのは、「違い」に気づいたとき、それをどう受け止めるかということ。「変わってる」ではなく、「そういう考え方もあるんだな」と一歩立ち止まってみると、人との距離がぐっと縮まるかもしれません。