フラッシュバックが起きたときのみんなの対処方法―つらい記憶に飲み込まれないために―

看護師 山田祥和


フラッシュバックとは、過去のつらい体験が突然よみがえり、その出来事がまるで「今起きているかのように」感じられる状態をいいます。事故や暴力、災害、いじめ、虐待などの体験をした人に起こることがあります。

音や匂い、人の言葉、似た状況などをきっかけに突然思い出されることがありますが、何も関係なく起こることもあります。

頭では過去の出来事だと理解していても、体や感情はその時の恐怖をそのまま感じてしまうことがあります。

突然涙が出たり、強い恐怖や怒りを感じたり、体が震えたり、動けなくなったりすることもあります。そのため、自分でも「どうしてこんなに苦しいのだろう」と戸惑うことがあります。

しかし、フラッシュバックが起きたときの対処方法を知っておくことで、少しずつ落ち着きを取り戻すことができる場合があります。

本日は、みなさんがとっているフラッシュバックが起こった時の対処方法を紹介したいと思います。

まず「フラッシュバックだ」と気づく


フラッシュバックが起きているとき、人は過去の出来事の中に入り込んでしまい、現実との区別がつきにくくなることがあります。そのため、自分の中で「これはフラッシュバックだ」と気づくことがとても大切になります。

自分の心の中で「これは過去の記憶がよみがえっているだけ」「今は安全な場所にいる」と確認することで、少しずつ現実に意識を戻すきっかけになります。

フラッシュバックはとてもつらい体験ですが、ずっと続くものではなく、時間とともにおさまっていくものでもあります。

呼吸を整えて体を落ち着かせる


フラッシュバックが起きると、体は強い緊張状態になります。心臓がドキドキしたり、呼吸が浅くなったりすることもあります。そのようなときは、呼吸をゆっくり整えることが助けになることがあります。

ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐くこと、呼吸を意識するだけでも、体の緊張が少しずつやわらいでいきます。呼吸に意識を向けることで、気持ちが落ち着いてくることもあります。呼吸は自分でコントロールできる身体の反応の一つであり、落ち着きを取り戻すための大切な方法です。

「今ここ」に意識を戻す


フラッシュバックが起きているとき、人の意識は過去の記憶の中に引き込まれてしまっています。そのため、意識を「今ここ」に戻すことが大切になります。

周囲の景色を見たり、聞こえてくる音に耳を傾けたり、自分の体の感覚に意識を向けることで、現実の世界に戻る助けになります。手に触れているものの感触を感じたり、足の裏が床に触れている感覚に集中することで、「今ここにいる」という感覚を取り戻しやすくなります。

冷たい水を飲んだり、手を洗ったりすることも、身体感覚を通して現実に戻る助けになることがあります。

安心できる人や場所を思い浮かべる


フラッシュバックが起きたとき、不安や恐怖で気持ちがいっぱいになることがあります。そのようなときには、自分にとって安心できる場所や人を思い浮かべることも助けになります。

例えば、自分の部屋や好きな景色、信頼できる家族や支援者の顔を思い浮かべることで、心の緊張が少しずつやわらいでいくことがあります。安心できる記憶やイメージは、恐怖の感情を和らげる助けになることがあります。

今いる場所を変える


フラッシュバックが起きたとき、その場所の環境が記憶を刺激している場合もあります。そのため、可能であれば今いる場所を変えることも有効な対処方法の一つです。

例えば、部屋の外に出て少し歩く、窓を開けて外の空気を吸う、別の部屋に移動するなど、環境を少し変えるだけでも気持ちが落ち着くことがあります。

場所を変えることで、頭の中で続いていた記憶の流れが途切れ、現実に戻りやすくなることがあります。

外の空気を吸ったり、空や景色を見ることで、体の緊張が和らぐこともあります。環境を変えることは、フラッシュバックから抜け出すための一つのきっかけになります。

一人で抱え込まないこと


フラッシュバックは一人で耐えようとすると、とてもつらく感じるものです。そのため、信頼できる人に「今つらい」「フラッシュバックが起きている」と伝えることも大切です。

家族や友人、支援員、訪問看護師、医療スタッフなど、安心して話せる相手を見つけておくことは大きな支えになります。助けを求めることは決して弱さではなく、自分を守るための大切な行動です。

自分を責めないことが回復につながる


フラッシュバックはとても苦しい体験ですが、それは心が壊れているわけではありません。過去のつらい体験が心の中で整理されていく過程で起こることもあります。

回復には時間がかかることもありますが、少しずつ落ち着いていくことは十分に可能です。フラッシュバックが起きたとき、「また起きてしまった」と自分を責めてしまう人もいます。しかし、それはあなたの弱さではありません。これまで大変な体験を乗り越えてきた証でもあります。

つらいときは無理をせず、自分を守ることを大切にしてください。「今はつらいけれど大丈夫」「少しずつ落ち着いていく」と自分に優しく声をかけることが、回復への大きな一歩になるのです。

みんながとっている対処方法


考えで落ち着かせる方法

・これはフラッシュバックである
・今は安全な場所にいる
・いつかはおさまるだろう
・死んでしまうわけではない
・好きな景色思い浮かべる
・家族の顔を思い出す
・音楽を頭の中で流す
・二桁×二桁の掛け算をする
・金木犀の香りを思い出す

行動で落ち着かせる方法

・ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く
・周囲の景色を見る
・聞こえてくる音に耳を傾ける
・自分の体の感覚に意識を向ける
・冷たい水を飲んむ
・手を洗う
・ハンドクリームの匂いを嗅ぐ
・伸びをする
・今いる場所を変える
・歩く
・足踏みする

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