うつ病、精神疾患 病気なのか、甘えなのか 精神疾患に対する真実と誤解

看護師 山田祥和

「精神病なんて甘えだ」
この言葉を、どれほど多くの人が耳にしてきたでしょうか。

「薬なんかいらない」「気持ちの持ちようだ」「走って体力をつければよくなる」

私はこれまで精神疾患を抱えた方の生活をたくさん見てきました。

仕事ができず一日中ゴロゴロしている。

風呂も入らない、掃除も洗い物もしない。

それでいて、好きなこと、ゲームやショッピンはできる。

生活保護や障害年金をもらって働かないで生活しているのは、単なる楽して生活する甘えでしかない!

そのように思われて生活してきた人は、たくさんいるはずです。

確かに中にはそういう人(詐病)もいるかもしれませんが、実際に精神疾患を抱えた人たちは、想像を絶する苦しみの中にいます。



布団から起き上がれない。呼吸が苦しい。体がまるで鉛のように重い。
頑張りたくても頑張れない──それが精神疾患のリアルです。

たとえば、うつ病。
「気分の問題」だと思われがちですが、実際は脳の働きに変化が起こり、意欲や思考力が低下します。
自律神経のバランスが崩れることで、体調も大きく崩れ、発熱や吐き気、強い倦怠感に襲われることもあります。

不安障害や双極性障害、統合失調症も同じです。
それは意志の弱さではありません。心と体を同時にむしばむ「病気」です。

心を「見えないもの」として軽視されてきた時代の名残が、「甘えだ」という偏見を生んでしまったのでしょう。

また、調子がいい時は好きなことができるからかもしれません。

しかし、現代医学ははっきりと示しています。
精神疾患は、れっきとした「病気」だと。

心が壊れれば、体も壊れる。
心を守ることは、命を守ることと同じです。

もちろん、理解されない苦しみは大きいです。
「怠けているんじゃないか」
「みんな頑張っているんだからお前も頑張れ」
そんな言葉を浴びせられれば、自分を責めてしまうのも無理はありません。



何度も言うようですが、精神疾患は「甘え」ではありません。
誰よりも苦しみながら、懸命に生きようとしている証です。

助けを求めることは、弱さではありません。
それは、病気と闘うために必要な「勇気」です。

この社会が、少しずつでも、「甘えだ」と切り捨てるのではなく、「病気だ」と理解し寄り添える場所になっていければと思います。

病気なのか、甘えなのか見極めるコツはまた今度書きたいと思います。

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