不登校 SNS は制限すべき?
看護師 山田祥和
近年、SNSが人間の日常生活に欠かせないものとなっています。子どもの間でも同じです。一日中やっている何てことも珍しくありません。
今、不登校の問題が増加している中、SNSはその影響を受ける大きな要素のひとつになっています。
不登校支援をしていると、SNSを制限している家庭と制限していない家庭があります。どちらがいいとは一概に言えませんが、それぞれメリットデメリットがあります。
本日は、不登校とSNSがどのように関わり合っているのか、不登校支援している看護師目線で考えていきたいと思います。

不登校とSNSの密接なつながり
不登校の生徒にとって、SNSは学校に行かなくても外部と簡単につながるための重要な手段です。人は誰かと繋がっていたいという欲求があります。人間の基本的な欲求の一つである所属欲求です。
特に友人関係がSNSを介して続いている場合、学校に行かなくても「居場所」を感じられることがあります。これは大きなメリットです。
しかし、私たちへの相談の中で多いのが、SNS上でのトラブルです。「ひどいことを言われた」「ブロックされた」「いいねを押してくれない」
SNSのデメリット
SNSの使い方によっては、不登校をさらに悪化させる要因にもなり得ます。
1. ネットいじめや誹謗中傷
不登校の原因が友人関係にある場合、SNSでのいじめや悪口がさらに傷を広げるケースがあります。匿名性が高いSNSでは、誹謗中傷がエスカレートしやすいため、心に大きな負担を抱えることも少なくありません。
2. 現実逃避としての利用
SNSに没頭しすぎることで現実の問題から目をそらし、さらに学校に行きづらくなることもあります。例えば、オンラインゲームや動画視聴などで昼夜逆転の生活に陥ることが、その一例です。
しかし、当然メリットもあります。

SNSのメリット
1. 孤独感の軽減
学校に行けないことで感じる孤独感を、SNSの友人やフォロワーとのやりとりで補えることがあります。特に同じ境遇の人とつながることで「自分だけじゃない」と感じることができます。
2. 情報共有の場
SNS上では、学校の授業内容や進路情報などを他の生徒と共有することができるため、勉強の遅れを最小限にする助けになることもあります。
SNSとの付き合い方を見直すためのヒント
1.時間を決めて利用する
SNSに過度に依存しないよう、1日何時間と決めて使うことが大切です。子どもとの約束ではなく、自分で決めるのことが大切です。
2.信頼できる人とのつながりを重視する
誹謗中傷にさらされるリスクを減らすため、信頼できる友人や専門家とつながっておくことを心がけます。
3.オフラインでの活動を増やす
たとえ短時間でも趣味に時間を使うことで、SNSに頼りすぎない生活リズムを作ることができます。現実世界に目を向けます。
SNSは孤独を和らげ、手軽に情報収集できる便利なツールですが、使い方次第では新たな問題を引き起こすこともあります。実際、悩みの多くの相談がSNS関連ですので、自分に合ったバランスを見つけ、少しずつ「現実世界」との接点を増やすことで、不登校からの一歩を踏み出すきっかけとなるかもしれません。
不登校とSNSの関係は、両方の面をしっかりと理解することで上手に付き合っていくことができます。
看護師としては、完全にSNSは否定できませんが、リアルな関係を少しでもあることをお勧めいたします。SNSの社会だけで生きているとコミュニケーションスキルも落ちますし、こころも荒む傾向にあります。
自宅に来てくれる訪問看護は、現実との接点としてとてもよいツールになっていると思います。