ASDの「白黒思考」をやわらげるためにできること 0から100に切り替わる前に立ち止まる

看護師 山田祥和

前回は白黒思考のメカニズムについて考えてみました。本日は、白黒思考があっても、少しでも生きやすくするにはどうするべきかを考えていきます。

結論、「白黒思考は直すものではありません
無理に変えようとすると人間関係はかえって不安定になります。大切なのは白と黒の間をうまく感じ取れるようになることではなく、白から黒に、0から100に一気に切り替わる前に立ち止まれるようになることです。

切り替わる瞬間に気づく

白黒思考には必ず引き金があります。
約束が曖昧にされたとき
言葉と態度が一致しなかったとき
距離感が急に変わったとき
説明のない態度の変化があったとき

こうした場面で脳の中ではすでに「危険かもしれない」というサインが出ています。

まず必要なのは、今自分は白黒を決めにいっていると自覚することです。

気づけるようになるだけで、その場で関係を断ち切る選択は大きく減ります。

判断をすぐに出さない


白黒思考が強く出るとき、判断のスピードは非常に速くなります。そこで意識したいのが結論を出さない時間をあらかじめ作ることです。

今日は決めない、数日考えてから動く、距離は取るが関係は終わらせない

白黒をつけないのではなく、白黒をつけるタイミングを遅らせるだけです。

この方法は思考を曖昧にする必要がなく、ASDの特性とも相性が良い対応です。

感情と事実を切り分ける


白黒思考が動くと感情と事実が一体化しやすくなります。嫌な気持ちになったという感情が、相手に悪意があるという事実のように感じられてしまいます。

ここで大切なのは起きた出来事を分けて考えることです。実際に何が起きたのか、相手が言った言葉や行動は何か、自分の解釈はどこから生まれたか、感情を否定する必要はありません。

ただし、感情がそのまま事実になる状態からは一度距離を取る必要があります。

それだけで信頼が一気にゼロに落ちる事態は避けやすくなります。

境界線を言葉にして先に置く


白黒思考が暴発しやすい理由の一つは、境界線が暗黙のままになっていることです。「察してもらう」、「空気を読む」というやり方はASDの人にとって非常に負荷が高い。

だからこそ、ここまでは大丈夫、ここからはつらい、これは事前に伝えてほしい、といった形で境界線を言葉で置いておくことが重要です。

境界線が明確になると、突然の裏切り感や予測不能感は大きく減ります。


距離を取る自分を否定しない


白黒思考の人は、関係から距離を取った自分を責めがちです。しかし実際には距離を取れるようになった時点で、かなり高度な自己調整ができています。衝動的に切らず、爆発する前に離れられ、自分を守る選択ができたと考えることで大切です。

これは失敗ではなく成長です。

人間関係を続けられなかったと考えるより、自分を壊さずに済んだと捉えてよい行動です。

白黒思考は扱えるようになる


白黒思考そのものは、一生変わらない特性かもしれません。

それでも暴発しない、自分を追い込まない、関係を全て壊さない、というところまでは十分に調整できます。

白黒思考は欠点ではありません。
それは安全と誠実さを守るために備わった思考の仕組みです。

ですので、無理して頑張って変える必要はありません。落ち込む必要もありません。
必要なのは上手な使い方を覚えることだけだと私は考えます。

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