子どものゲーム依存 親ができること 〜発達障害の特性とゲームにハマりやすい理由〜
看護師 山田祥和
子どものゲーム時間が長くなり、ゲーム依存ではないかと不安を感じる親御さんも少なくありません。
特に発達障害のある子どもの場合、ゲームへの没頭が強くなりやすく、どこまで許容すべきか、どう関わればよいのか悩みやすいテーマです。
ゲームをやめさせなければならない、制限を厳しくすべきだと考えがちですが、一方的な禁止や管理は、かえって親子関係を悪化させ、子どもの不安や反発を強めることがあります。
重要なのは、なぜ発達障害のある子どもがゲームに強く惹かれるのかを理解したうえで、現実的な関わり方を考えることです。

発達障害の子どもがゲームにハマりやすい理由
発達障害のある子どもがゲームにハマりやすい背景には、脳の特性と環境の相互作用があります。
ADHD特性のある子どもは、待つことや先を見通すことが苦手で、努力がすぐに報われない状況に強いストレスを感じやすい傾向があります。ゲームは、操作すればすぐ結果が出て、得点やレベルアップといった形で達成感が即座に得られます。この即時的な報酬構造は、ADHD特性のある脳にとって非常に魅力的です。
また、自閉スペクトラム症の特性を持つ子どもにとって、ゲームの世界はルールが明確で予測可能です。現実の人間関係のように空気を読んだり、曖昧な指示に対応したりする必要がありません。失敗しても責められず、何度でもやり直せる環境は、安心できる居場所になりやすいのです。
学校や家庭で注意される経験が多い子どもほど、現実世界で自己肯定感を保つことが難しくなります。その結果、努力が評価され、自分のペースで挑戦できるゲームの世界に強く引き寄せられていきます。これは逃げではなく、自分を守るための選択である場合も少なくありません。
ゲーム依存への対応で大切な視点
ゲーム依存への対応で最も大切なのは、やめさせること自体を目的にしないことです。ゲームは単なる娯楽ではなく、子どもにとって安心感や達成感、自己肯定感を支える役割を果たしている場合があります。
その意味を理解せずにゲームを取り上げてしまうと、子どもは安心できる拠り所を失い、別の形で不調や問題行動が表に出ることがあります。親と子どもが対立する構図を作らないことが、長期的には最も重要です。
親ができる現実的な関わり方
まず大切なのは、親自身が子どものゲームに関心を持つことです。親も一緒にゲームを行い、どんなところが楽しいのか、どこで集中しているのかを体験することで、子どもの世界を理解することができます。これはゲームを無条件に肯定することではなく、理解しようとする姿勢を示す行為です。
次に重要なのは、楽しむ姿勢とやめる姿勢を同時に見せることです。親も一緒にゲームを楽しみながら、あらかじめ決めた時間が来たら、親が率先してゲームをやめます。感情的にならず、淡々と区切りをつける姿を見せることで、楽しいことでも終わらせることができるという具体的なモデルを示すことができます。
時間のルールについても、管理や命令ではなく、共有された約束として扱うことが重要です。何時までやるのかを事前に一緒に決め、時計やタイマーなどの客観的な指標を使って確認します。約束を守れたこと自体を評価することで、子どもは自分でコントロールできたという感覚を持ちやすくなります。
ゲームだけが唯一の居場所にならないために
ゲームに強く依存してしまう背景には、現実世界でのしんどさがあります。人間関係の難しさ、失敗体験の多さ、安心して過ごせる時間の少なさが重なると、ゲームだけが心を休ませられる場所になってしまいます。
ゲーム時間を減らすことよりも大切なのは、ゲーム以外にも少し安心できる時間を増やしていくことです。長時間の外出や特別な活動である必要はありません。短い散歩や雑談、簡単な家事の手伝いなど、成功や評価を求められない時間を積み重ねていくことが、結果的に依存を弱める方向につながります。

親が示す姿勢が子どもに与える影響
子どもは、親の言葉以上に行動を見ています。楽しむことを否定せず、しかし際限なく続けない姿を親自身が示すことが重要です。感情的に叱るのではなく、淡々と区切りをつける姿勢は、将来子ども自身が自分でゲームとの距離を調整する力につながっていきます。
ゲームにハマるのは脳の特性と生活環境
発達障害のある子どもがゲームにハマりやすいのは、意志の弱さではありません。脳の特性と、安心できる環境を求める自然な反応です。
親にできることは、管理や対立ではなく、伴走です。一緒に楽しみ、一緒に区切りをつける。時間が来たら、必ずやめる。楽しんでいてもその姿勢を見せることが大切です。その積み重ねが、子どもが現実世界でも少しずつ安心して過ごせる土台を作っていきます。


