ADHDの方によく見られる先延ばし癖 怠けじゃないADHD脳
看護師 山口風馨
最近、この先延ばし癖についてある仮説を思いつきました。
発達特性のある方々は、
「早く終わらせれば、気持ちがいい」
「計画立ててやれば焦らなくて済む」
「やればできるのに」
幾度となく言われてきたのではないでしょうか…
人生の中で一度は締め切りより早く終わらせ、その気持ちを味わったことがある方もいると思います。それでも治らない。なぜなのか…
そもそもADHDの先延ばし癖は、怠けではなく脳の仕様に近いものです。エンジンは高性能なのに、キーの回し方が独特という感じです。

1. 「やる気」は意思じゃなく神経伝達物質
ADHDではドーパミンが不足しがち。
ドーパミンは「よし、今やろう」を点火する燃料ですが、「締切が遠い」、「報酬が見えない」、「作業が単調」だと、エンジンがかからない。結果、手が動かないんです。
2. 時間が“平ら”に見える
ADHDの人は時間感覚が弱いことが多い。
「まだ大丈夫」と「もうヤバい」の境界線がぼやけていて、締切直前になって初めて世界が立体視になる。
そこから超集中が発動することも。
3. 完璧主義との合体事故
意外ですが、ADHDの先延ばしは完璧主義とセットのことが多い。
「中途半端にやるくらいならやらない」
→ 着手できない
→ 自己嫌悪
→ さらに避ける
というループに入りやすい。
4. タスクが“霧”みたい
「レポートを書く」「片付ける」など、ゴールが大きくて曖昧だと、脳が掴めず停止します。
最初の一歩が見えないと、足が出ない。
5. 感情がブレーキを踏む
不安・退屈・失敗の記憶などの感情が強いと、脳が無意識に回避行動を取ります。
理屈では「やらなきゃ」でも、感情がハンドルを握っている。
この5番が最近考えていることなのですが、特に自分の中で苦手なこと。例えば、人に電話をかける、ライフラインの支払いのためにコンビニに行く、紙媒体から引き落としへ支払い方法を変更する、駐車場を契約する、レポートを書く、帰宅後に着ていった服を畳む、などなど。
曖昧な期限はあれど今日いますぐにやらなくてもいいことだとついつい回避してしまう。というか、気が乗らなすぎて(感情)、実行に移すまでに心の準備の時間が必要となります。
先延ばしの時間自体が、エネルギー充電タイムなのではないかと考えるようになりました。

6. タスク処理が一気にできることも
私は自分の担当の利用者さんには、自分の残りのHPを意識してみてとお話ししています。
HPが10以下だと某ポケットゲームでは瀕死状態で赤くピコンピコンします。そんな時に気の乗らないタスクに取り掛かれるわけがない、というイメージです。
本人も「やらなくては」と思っているし、「早めにやったほうがいい」とも思っているはずです。
つまり、最初の話に戻ると、HPがある数値を超えて心に余裕ができたとき(自分の中でその物事を完璧にできると思えた時)、一気にタスク処理ができる日が突然来るのでは…!?仮説です。
ただ、そのタイミングでいろんな人に一気に連絡することで一気に返信が来てまたタスクがパンパンになってまた目を背ける…という悪循環が生まれたりするのかななんて考えたりしています。
上にも書いてありますが、先延ばし癖には締切の明確化、報酬を目に見えてすぐ貰える制度にする、タスクを細分化する、などが有効だと一般的に言われておりますが、、、
人への連絡の返信や支払いにそれを適応するのはなかなか難しい(レポートや仕事の課題のように途中まで取り掛かればOKってことではないから)ので、こういった細かいことが生活の中での気付かれにくい困り感(生きにくさ)かな、なんて考えている、今日この頃でした。
7. 先延ばし癖は脳の特性
結局何が言いたいのかと言うと、先延ばし現象は脳の特性なのであなたが(あなたの身の回りの人が)怠けているわけでは決してない!と言うことです☺︎
(むしろ常に、「やらなきゃ〜やらなきゃ〜」魔神に取り憑かれていると思います。笑)
訪問看護は魔法でも特効薬でもないので、介入後すぐに利用者さんを見違えるほど回復させることも、別人にすることも難しいです(努力はします)。
ただ他の支援者さんや医療者とタッグを組みながら、時間をかけて伴走し、相性の良い工夫を探しながら生きやすい道を一緒に創っていくことはできます。
私たちはいつでも変わらず待っているので、気が乗った時には支援者にたまに連絡をくださいね☺︎

