統合失調症の息子を持つ母親の苦悩と希望① 受診拒否という大きな壁

看護師 山田祥和

本日は統合失調症の息子さんを持つお母さんの話です。当事者家族の役に立てばと、お母さんはぜひ本当のことを書いて欲しいとのことですが、個人が特定されないように脚色して書いています。

発症という出来事が家族にもたらすもの

「最初は、どう接したらいいのかわからなくて自分も病んでいました」

初めてご自宅を訪問したとき、お母さんは私にそう言って俯きました。
声は小さく、長い時間、誰にも言えずに抱えてきた疲労がにじみ出ていました。
一人で抱えていて、正常な判断ができなかったのだと思います。

息子さんは30代後半。20年ほど前に統合失調症を発症しました。
発症前は、家族思いで穏やかで、将来のことも語っていた青年だったそうです。病気の症状によって自分を守るために粗暴的になっていました。

「まさか、あの子が」

多くのご家族が口にする言葉です。

統合失調症の発症によって家族の生活も一変


夜中に突然大きな声を出す
「誰かに監視されている」と怯える
家の外に出られなくなる
怒りっぽくなり、家族に攻撃的な言葉を向ける
狙われていると常にイライラして乱暴になる

お母さんは言いました。

「最初は反抗期だと思ったんです。でも、だんだん様子がおかしくなって…」ネットで調べて保健所に相談に行きましたが、受診にはいたりませんでした。

「自分は病気ではない」の一点張りで病院に行こうとしませんでした。
窓から近所の人に罵声を浴びせたり、家中の電源コードを切り裂いたり、テレビやパソコンを壊したりもしました。

いずれも、「盗聴されている、監視されている」など騒ぎながら。

止めに入ると、「うるさい狙われているんだぞ!」と暴力を振るいました。

近隣に対する被害・関係妄想

家族にだけならいいのですが、近所の人に向かって窓から「悪口を言うな!」「見てんじゃねぇ!」と暴言を吐くこともありました。

家の周りに生ゴミを撒いて、奇妙なお祈りをすることもありました。

あまりにも奇異な行動が多いので、近所の人に警察を何度もよばれたそうです。

ですが、警察は、別に人に危害を加えるわけではないからと、迷惑な行為はしないように注意をするだけでした。

警察を呼ばれることもあれば、自ら警察を呼ぶことも多かったようです。「侵入者がいる。助けて欲しい」、「嫌がらせを受けている」などと。

それでも病院に連れて行くことができず、病院に行かないと診てもらえませんでした。お母さんは近所に謝り、警察に謝り、、、、

本人以上に疲弊していくのは当然です。

つづく

次回は治療のきっかけです

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA