なぜ季節の変わり目に、精神状態が不安定になったり、うつ病が悪化したりするのか
看護師 山田祥和
「春や秋、冬になると、なんだか気持ちが落ち込む」「やる気が出ない」「眠りが浅い」
「季節の変わり目だからねー」そんな声をよく聞きます。
私も経験上、季節の変わり目は不安定な相談をよく受けます。
おそらく、季節の変わり目に調子を崩すのは、気温や気圧、日照時間の変化などが関係していると思われますが、本日はその理由について調べてみましたので記事にしました。

季節の変わり目が「心」に影響を与える3つの要因
① 自律神経の乱れ
春や秋は、寒暖差が大きく、気圧の変化も激しい季節です。
このとき、体温や血圧を調整する自律神経(交感神経と副交感神経)が過剰に働き、心身が疲れやすくなります。
自律神経が乱れると、
睡眠の質の低下
食欲や集中力の低下
体のだるさ、頭痛、倦怠感
気分の落ち込み
などが現れ、これらが精神的に不安定になったり、うつ病を悪化させたりします。
特に気圧が急降下する雨の日や、前線の通過時には、交感神経が優位になり「緊張状態」が続くため、心身が不調を感じやすくなります。
② 日照時間の変化とセロトニンの減少
春先や秋口は、日の出・日の入りの時間が急に変わるため、体内時計が乱れやすくなります。
このとき、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が減少します。
セロトニンは気分の安定や睡眠リズムを整える役割を担っており、減ることで気分の落ち込みや不安感が強まりやすくなります。
特に秋から冬にかけては、日照時間が短くなることで「季節性うつ病(SAD)」を発症する方もいます。
このタイプは、毎年同じ季節にうつ症状が強まるのが特徴です。
朝の光を浴びることが大切
研究では、朝の自然光を15〜30分浴びるだけでセロトニン活性が高まることがわかっています。
言われ過ぎていると思いますが、カーテンを開けて朝日を取り込む、散歩するなどの習慣が予防に役立ちます。
③ 環境変化による心理的ストレス
春は進学・就職・引っ越しなど、生活の節目が重なる季節です。
秋は夏の疲れが出て、気力が下がる「秋うつ」に悩む人も増えます。
人間関係や生活リズムの変化は、脳のストレス反応系(視床下部―下垂体―副腎皮質軸)を刺激し、ホルモンバランスを崩します。
特に、もともとストレス耐性が低い方や発達特性(ASD・ADHD)を持つ方は、環境の変化に敏感で、「変化の連続」がうつ症状の再燃要因となることがあります。
④過去の経験
4月は入学の時期
9月は夏休み明け
この時期に学校で嫌な目に遭ったことを無意識のうちに感じてしまうことがあります。
季節性うつ(季節性情動障害)との違い
季節ごとに気分の落ち込みが強く出る場合、単なる「季節の変わり目の不調」ではなく季節性情動障害(SAD)の可能性もあります。
主な特徴して、
毎年ほぼ同じ時期(主に秋~冬)にうつ症状が出る
春・夏に自然と回復する
過眠・過食・体重増加などが目立つ
この場合、光療法(高照度光照射)が有効で、朝の強い光を一定時間浴びることで、体内時計とセロトニン分泌を整える効果が期待されます。
実際によくなった方を見てきました。

季節の変わり目にできるうつ病悪化予防のセルフケア
耳にタコができるかもしれませんが、何を見ても以下のことが書かれているので、改めて書き示します。
① 朝の光を浴びて体内リズムをリセット
朝の太陽光を浴びることで、脳が「朝」を認識し、体内時計が整います。
起床後30分以内に窓を開けて光を感じるだけでもOK。
天気が悪い日は、光療法ライト(2,500〜10,000ルクス)を使うのも有効です。
② 睡眠リズムを崩さない
「寝すぎ」「夜更かし」はうつ病の悪化要因。
休日でもなるべく同じ時間に起きるようにし、昼寝は30分以内に留める。
就寝前のスマホ・パソコンのブルーライトもセロトニンリズムを乱すため、寝る1時間前にはオフにするのが理想です。
③ 栄養バランスの取れた食事を意識
セロトニンの原料はトリプトファン(大豆・バナナ・魚・卵など)。
また、ビタミンB群やオメガ3脂肪酸も神経伝達を助けます。
「季節の変わり目こそ、温かい汁物・旬の野菜を意識する」ことで、体と心の安定を保ちやすくなります。
④ 適度な運動でストレスを発散
軽いウォーキングやストレッチは、セロトニンやエンドルフィンを増やす自然な抗うつ作用があります。
1日20分、週3回の運動でも効果的です。
「疲れたら休む」「少し動けたらOK」という柔軟な姿勢で続けることがポイントです。
⑤ 気分が落ちたら“早めの相談”を
うつ病は「我慢すれば治る」ものではありません。
気分の落ち込みや不眠が続く場合は、医師やカウンセラー、訪問看護師などの専門家に早めに相談しましょう。
特に再発を繰り返す方は、気象変化をきっかけに悪化するパターンが多く、季節前からの予防的支援が重要です。
看護・福祉の現場から見た支援のポイント
訪問看護や福祉支援の現場では、季節の変わり目に以下のようなサインを重視しています。
睡眠
「最近眠れていない」「朝起きられない」
食欲
「食欲がない」「食べ過ぎている」
意欲や活動
「テレビや趣味に興味が持てない」
心と身体の調子
「体がだるい」「涙もろくなった」
こうした変化を早期にキャッチし、医療機関との連携や服薬確認、生活リズム調整を行うことで悪化を防いでいます。
また、支援者が「焦らなくていいですよ」「今は季節的に不安定になりやすい時期です」と言葉をかけることで、本人の安心感が高まります。
おわり
本日は季節の変わり目に調子を崩す理由を調べてみましたが、どこを見ても同じようなことが書かれていました。それに対する対処方法も月並みです。
自律神経、ホルモンバランス、日照時間、生活環境、、、、、
調べる前からなんとなくわかっていましたが、それ以上のことはなかったです。
どこを見ても誰が見ても同じようなことを言っているということは、試してみて、継続してみるのがベストなんだと強くなる思いました。


