毎日10km走っていて、体力には自信があるのに、仕事だとすぐに疲れてしまうのは何故?

看護師 山田祥和

とてもよくある疑問です。
「毎日10kmも走れるのに、なぜ仕事だとすぐ疲れてしまうのか?」
「運動部に所属していたから体力には自信があるのに、仕事となると疲れてすぐに休んでしまうのはなぜか」

これは身体的な体力だけでなく、こころと体の使い方の違いに関係しています。

身体的疲労と精神的疲労はまったくの別物

ランニングでの疲労は「身体的疲労」で、仕事での疲労は「精神的疲労(メンタル負荷)」が大きいです。
特に頭を使う業務や人間関係のストレスは、体力とは関係なくこころを消耗します。こころの消耗により疲労感を感じます。

自分で選べる運動 vs コントロールできない仕事

ランニングは好きな時間にできて、ペースも自分です決められます。
体調が悪ければ止めることもできれば、ゆっくり歩くこともできます。

しかし仕事は、時間、内容、評価などすべてに「他人の影響」を受けます。
この「コントロールできなさ」が心理的ストレスとなり、疲れにつながります。

同じ姿勢や緊張で筋肉が偏って疲れる

ランニングや趣味活動は、全身の血流を良くし、体に良い疲労をもたらします。
仕事では座りっぱなしや立ちっぱなし、無意識の緊張が続きます。人の顔色を伺ったりと気も使います。
結果、肩こり・眼精疲労・腰痛などに発展することもあります。

常に「評価される場」にいるという緊張感

ランニングや趣味活動には評価がなく、達成感を得られやすいです。

仕事には「ミスしたらどうしよう」「怒られるかも」「しっかりやらなければ」などの心理的プレッシャーがあります。人に見られている状態は、知らず知らずのうちにエネルギーを奪います。

一方、ランニングにはエンドルフィンなどの幸せホルモンが分泌され、疲れが感じにくくなります。

遊びには行けるけど、仕事には行けない

この現象もいわゆる同じことです。
決してサボっているわけではありません。

遊びは「報酬系」が刺激されます。脳は「楽しいこと」「自分で選んだこと」に対して、ドーパミンやエンドルフィンという快楽物質を分泌します。
遊びはこの報酬系が活性化するため、エネルギーが自然に湧いてくるのです。

一方で仕事は、義務・責任・緊張・評価などが絡み、報酬系ではなく、ストレス系(コルチゾール)が刺激されがちです。

責任を感じやすい人ほど、この心理的負担が大きくなり、こころがブレーキをかけてしまいます。

「体力」よりも「こころの余裕」が試される

ランニングや遊びにも肉体的なエネルギーが必要ですが、仕事に向かうにはこころのエネルギーが必要です。

特にうつや不安症、発達特性がある方は、こころのエネルギーが枯渇しやすく、消耗も早いため、疲れやすいです。

性格や仕事環境のミスマッチも疲れのもと

責任感が強すぎたり、他人の目を気にしすぎたりすると、それだけで消耗します。
仕事内容が苦手だったり、職場の人間関係に問題がある場合も、疲れやすくなります。

少しでも楽に働くためには、適度に休憩を取り、集中とリラックスを切り替えたり、自分に合った働き方や職場環境を探ったりするのもいいです。
くたくたになって働いても長続きしません。ストレス対処法やリラクゼーションを取り入れるなど、工夫するといいかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA