スペシャルプレイタイム 子どもがすくすく育つ最も簡単な方法
看護師 山田祥和
大声を出して、暴れる。すぐに手を挙げる。物に当たる。いつまで経っても親離れしない。情緒が不安定。極度な人見知り。反抗的。
そんなお子さんが少し変わる方法があります。
それが「スペシャルプレイタイム」です。
買い物、掃除、洗濯、料理、学校の準備、そして仕事。お母さんは本当に忙しいです。
でも完璧じゃなくていいんです。
たった30分、家事も仕事もスマホも置いて、子どもだけを見つめる時間──それだけで、子どものこころは深く満たされていきます。
子どもが主役。ルールは“自由と愛情”

スペシャルプレイタイムには、小さな決まりごとがあります。
①遊びは子どもが決めること。ゲームでもおままごとでも。
②ルールも子どもが考えていい。親が口を出さない。黙って従う。
③そして何より、その30分は、子どもだけのために使うこと。徹底的に付き合うこと。
お母さんは、ただその時間を“子どもの世界の住人”として過ごすだけです。
指摘も指導もいりません。もし段ボールがロボットになったら一緒に戦って、ティッシュがケーキになったら「おいしい!」と笑えばいいのです。
ほんの30分。でも、子どもにとってはその時間が、“自分は大切にされている”という実感の宝庫になります。
子どものこころは、大人のように言葉で気持ちを整理することはできません。
だからこそ、遊びを通して感情を伝え、つながりを確かめようとします。
「今、ママは私のことだけを見てくれている」
「お母さんは僕の考えを、ちゃんと聞いてくれている」
そんな時間があるだけで、子どもは安心し、自分を信じて育っていきます。
忙しいからこそ、30分の魔法を
あるお母さんは言っていました。
「最初は、仕事でヘトヘトなのに30分も遊ぶなんて…と思っていました。でも始めてみると、子どもの目の輝きが違うんです。“今日ママと遊ぶ日だよね!”って、自分から準備するようになって。気づいたら、私の方が癒されていました」
この時間に必要なのは、“上手に遊ぶこと”ではなく、“一緒にいること”。
テレビを見ながらや、洗濯物をたたみながらの“ながら遊び”ではなく、真正面から向き合うただの30分。
けれどその時間は、どんな高価なおもちゃより、どんな教育教材よりも、深く子どものこころにしみ込んでいきます。

そして、子どもが見せてくれる世界のなんと豊かなこと。
お母さんが思っている以上に、子どもたちは今日もお母さんを待っています。
「わたしだけを見てほしい」
「ただ、そばにいてほしい」
そんな声なき願いを、こころの奥で灯しています。
もちろん、毎日でなくてもいいのです。
週に一度、あるいは月に数回でも。大切なのは、「お母さんはちゃんと自分のことを見てくれている」と子どもが感じられることです。
スペシャルプレイタイムは、子どものこころの根っこを育てます。
「自分は愛されている」「大切にされている」──その確信は、将来、困難に立ち向かう力になります。
忙しい毎日。でも、ほんの30分の寄り道が、親子の未来を照らす灯りになります。だからこそ今日、少しだけ立ち止まってみるといいのです。
温かいお茶を淹れるように、子どもとの時間を“味わって”みるのもなかなかですよ。
実は、訪問看護でもお子さんに対して、このスペシャルプレイタイムを取り入れてます。1時間好きに使っていいよと伝え、その子との時間を大切にしています。そうすることで人を信じることができるように成長していきます。