躁状態 〜あの時の万能感を忘れられない〜

ピアサポーター 金子祐也

初めての「認められた」体験が生んだ万能感

大学時代、それまで他人から認められたことがなかった私は、人並み以上に勉強を重ねることで、周囲からの承認を得るようになりました。​この初めての「認められた」体験は、自分でも不安や驚きを感じつつも、次第に「何でもできる」という感覚へと変化し、万能感や全能感が芽生えました。​

頭の回転が速くなり、複数のことを同時にこなせるようになり、未来が見えるような感覚に陥りました。​「自分は世界を変えられる存在だ」と信じ、集中力が持続し、睡眠を取らなくても平気で、食事量が増えても体重が増えないという状態が続きました。​まさに無双状態で、ダブルタスクやトリプルタスクも難なくこなしていました。​

勉強は一日15時間以上行い、アルバイトもこなし、さらに多くの人と会って豪遊する日々を送りました。​一日に数人と会う約束も難なくこなすことができました。​お金もあるだけ使い、「お金は湧いてくる」「自分なら大丈夫」という根拠のない自信に満ちていました。​

このような状態では、自分が躁状態であるという自覚は全くありませんでした。ただただ楽しく、自分がすごい存在で、未来が見える、世界を変えられると信じていました。しかし、先のことを考えることはなく、身も心も生活も次第に破綻していきました。​


躁の反動と「普通」であることの大切さ

このような躁状態の後には、必ず反動が訪れます。突如としてエネルギーが枯渇し、寝込んでしまうこともありました。その時には、「結局自分はダメだ」「いつだってうまくいかない」と自己否定の感情に苛まれました。​

それでも、あの時の躁状態の感覚が忘れられず、「またあの時のような状態になりたい」と思ってしまうこともあります。しかし、現在は「普通」であることの大切さを実感しています。少しつまらないと感じることもありますが、安定して働けている今の状態が一番だと感じています。​

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