不登校 ゲームを取り上げたらどうなる?
看護師 山田祥和
不登校のご家庭において、よくゲームの話題があがります。
自由にやらせるべきか、制限をかけるべきか。
制限をかけないと
1日中やってしまいます。
しかも、ゲーム人口の多い時間は夜です。
昼夜逆転し、学校からさらに遠ざかります。
ゲームは良くないですね。
しかし
不登校の子にとって、ゲームは単なる遊び以上の意味を持っていることがあります。現実の学校には行けない。だけど、ゲームの世界では友達がいて、自分の居場所がある。そんな風に感じているお子さんも少なくありません。

では、そんなゲームを「取り上げたら」どうなるのでしょう?
ゲームは“悪”なのか?
不登校の原因は人それぞれです。いじめ、環境の変化、心の疲れ。どれも簡単に解決できることではありません。そうした中で、ゲームは唯一「自分でコントロールできる世界」であり、「他人に否定されない場所」です。
大人の目から見ると、「ゲームばかりして何をやってるんだ」と思うかもしれません。でも、子どもからしたら、ゲームをしている時間こそが「安心できる時間」なのです。
取り上げたら何が残る?
仮に、ゲームを強制的に取り上げたとしたらどうなるでしょうか。
・やることがなくなる
・自己否定感が強まる
・現実から逃げ場がなくなる
・怒りや不安、孤独が爆発する
特に不登校のお子さんの場合、「学校に行けていない自分」にすでに苦しんでいることが多いです。そこに加えて「好きなものまで奪われた」と感じれば、心はどんどん追い詰められてしまいます。

大事なのは「繋がり」と「意味」
ゲームをただ禁止するのではなく、「なぜゲームに夢中になっているのか」「その中にどんな楽しさや安心があるのか」に耳を傾けることが大切です。
親が興味と関心を持って接すると、一人理解者が増えます。
そこから、「じゃあ少しずつ、他の世界とも繋がっていこうか」と提案していく。
たとえば、ゲーム好きならYouTube配信やイラスト、プログラミングに興味を持つかもしれません。ゲームは現実とつながる“入り口”になることもあります。
まとめ
不登校の子にとって、ゲームはただの暇つぶしではなく、心の支えになっていることもあります。
親としてできることは、まずは「なぜゲームに向かっているのか?」を一緒に考えて、そこから少しずつ世界を広げていくことが、はじめの一歩になるのかもしれません。
制限する場合も、親の思いを伝え、子の気持ちも聴き、よく話し合って、納得の上制限すべきです。
ゲームを取り上げられて、「深く暗く冷たい大海原の中から、浮き輪を奪われた」と表現したお子さんもいました。