統合失調症の幻聴の正体 〜劣等感と幻聴〜

看護師 山田祥和

統合失調症の症状は様々です。幻覚、妄想、自分が自分ではない、考えがまとまらない、やる気が出ない、人と関わりたくない、、、、

人それぞれです。

その中でも今日は幻聴について考えていきたいと思います。

統合失調症の幻聴には電波、電磁波、人の声、命令してくるものや話しかけてくるもの、男女問わず数十人いたり、神の声であったり、時には笑わせてきたり、それこそ様々です。

耳に違和感を感じ、最初に耳鼻科を受診する人も珍しくありません。

それら幻聴の中で厄介なものは、命令タイプの幻聴と悪口タイプの幻聴です。

「眠るな!」

「食うな!」

命令してくる幻聴を幻聴と理解している人もいます。わかっているなら無視すればと思うかもしれません。しかし、何故か逆らえないのです。現実ではないとわかっていても従ってしまうのです。

「働け!働け!怠けもの!」

「デブ、デブ、デブ、醜いんだよ!」

「臭い、臭い、近寄るな!」

悪口を言ってくる幻聴もあります。それら幻聴の正体は一体なんでしょうか。心の声なのでしょうか。

様々なタイプの幻聴がありますが、この悪口タイプの幻聴は、自分の劣等感に起因している場合があります。(もちろんそうでないこともあります)

「働け!」と聴こえてくる人は、働けていないことを引け目に感じていたり

「デブ!」と聴こえてくる人は、体型に自信がなかったり

「臭い!」と聴こえてくる人は、体臭のことを指摘された経験があったり

自分に対する劣等感が幻聴として現れる場合があります。

どうすればいいのでしょうか?

恐らく劣等感からくるであろう幻聴に対しては、劣等感を取り除いてあげればいいのです。

簡単に劣等感なんか取り除けないと思うかもしれませんが、いくつかできる方法もあります。

「働け」と聴こえてくる幻聴に対しては、働いていないことに劣等感を感じているのですから、できる範囲で働いてみるのもいいかもしれません。就労継続支援B型でもいいです。仕事は社会のため、誰かのためになっているのですから。実際にB型に通い始めてから良くなった方もいます。

体型に劣等感を抱いているのなら、痩せてみてはいかがでしょうか。少しでも体重が落とせれば、自信につながります。レコーディングダイエットでも全然違いますね。少し努力したことで、幻聴の種類が変わり、「頑張ってな」と言ってくるようになった事例もあります。

しかし、自分にはどうしようもできないこともあります。

例えば「貧乏!」、「低学歴!」、「ちび!」など、今すぐに改善できません。

どうすればいいのでしょうか?

みなさん色々な方法で対策を練っています。ここではみなさんがとっている実際の方法を紹介します。

定時の薬を早めに飲む

頓服を飲む

気分転換する

音楽を聴く

散歩する

寝る

幻聴に対して、薬物療法をとる方や状況を変える方が多いですね。

何かしている時は聴こえず、幻聴に聴き入ってしまうとどんどん増強していきますので、思考や行動を変える必要があります。

薬を飲んでも状況を変えてもいまいち効果がない場合は、考え方を変える方法もあります。

悪口は全て幻聴と考え、幻聴だから気にしない方法。

余計なおせっかいと捉えて聞き流す方法。

幻聴さんのアドバイスと捉えて感謝する方法

幻聴も色々ですが、みなさん色々な対処方法をとっていますね。

自分に自信がついて劣等感を払拭できればいいですね

「働け」と聴こえても実際働いていますので大丈夫です。

精神科訪問看護でできること

自信をつける。

強みを見出す。

私たちは、劣等感が薄れるように「それでいいんだ」と思えるように声掛けを行っています。

時間はかかりますが、ゆっくりと自分の中に落とし込めればいいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA